POL Tech Blog

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エンジニアにファイナンス思考は必要なのか。

こんにちは。POLでエンジニアをしているゴルです。

突然ですが、ここで問題です!

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上記のシチュエーションでは、どちらがリスクが高いと思いますか。

ファイナンス的な観点で考えると、正解は後者の「ビルの3F」から落ちるケースです。

理由としては、下記の通りです。

(a)ビルの100Fから落ちた場合 => ほぼ100%の確率で命を落とす = 不確実性(ボラティリティー)が極めて低い = リスクが低い (b)ビルの3Fから落ちた場合 => 命を落とすかもしれないが、骨折程度で生きている可能性もある = 不確実性(ボラティリティー)が大きい = リスクが高い

「リスク」とは一般的に「危険性」と訳されることが多いですが、経済学的な観点から見たときの「リスク」とは「不確実性」を意味します。(意外かもしれませんが、本来の意味も不確実性です)

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ビジネスサイドからプログラミング完全未経験でPOLにエンジニアとしてジョインし、フロントエンドを担当させていただき約1ヶ月が過ぎました。極めて困難な挑戦でしたが、少しずつやれることが広がっていることを実感しています。

ビジネスサイドとテックサイド両方を経験して気がついたのですが、両者には様々な思考のギャップがあるなと感じています。その中でも「ファイナンス思考」を持っている方が少ないと感じたため、先日試験的に「ファイナンス思考」に関する勉強会を行いました。

私自身はこの「ファイナンス思考」は、文理やBiz・Devなどに関係なく、全ての人が一つの考え方として持っておくべきだと考えています。 今回は①そもそも「ファイナンス思考」とは②エンジニアにも「ファイナンス思考」が重要な理由 についてまとめていこうと思います。

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ファイナンス思考勉強会の様子

【目次】

①そもそも「ファイナンス思考」とは

そもそもファイナンスとは

そもそも「ファイナンス」とは金融用語で、「経営資源(主にお金)をどのように調達して、企業価値を最大化するためにどのように運用するか」と定義づけされています。

金融業に馴染みがない方にとっては、「ファイナンス」という言葉はすぐにでもスワイプしたくなるようなだと思います。特にエンジニアの方からすれば、「会計は難しそう...」「ファイナンス、なにそれ?」「俺たちはイケてるものを作りたいだけで、お金のことはどうでもいい!!」など拒否反応が出てもおかしくありません。

会計とファイナンスの違い

ファイナンス思考の重要性を説明する前に、よく「会計」と「ファイナンス」は一緒のものだと勘違いされることが多いのですが、両者は明確に異なるもので一般的に下記のように定義されています。

・会計(Accounting)  企業の売上や利益を正確に記録に残すこと・管理すること

ファイナンス(Finance)  経営資源(主にお金)をどのように調達して、  企業価値を最大化するためにどのように運用するか

会計(Accounting)ファイナンス(Finance)
目的経営資源の管理経営資源の運用
報告対象利害関係者(ステークホルダー)社内・自社
方向性過去未来
(例)職種経理経営企画

両者は目的や報告対象、方向性が全く異なるものとなっており、「過去の状況を正確に把握するための会計」と「将来の戦略を考えるためのファイナンス」に分けることができます。

ファイナンス思考」とは、「過去・現在の経営状況を正確に判断して、企業価値を最大化させるために経営資源を運用させる」ための考え方となります。 一般的な「ファイナンス思考」では、現状を正確に把握するために、B/S(貸借対照表)やPL(損益計算書)を読めるようになることが必要になり、その上で売上や利益を最大化させるためにどのようにCF(キャシュフロー計算書)を回せるか考えるかというものになります。 (今回は少しだけ興味を持っていただくことが目的であるため、テクニカルな部分は全て割愛しています)

②エンジニアにも「ファイナンス思考」が重要な理由

・「ファイナンス思考」を持っていない状態とは

さて、本題です。 私たちは資本主義の世界で生きており、ほとんど全てのものに対して「お金」を基準に評価しています。また企業で働いている方も、フリーランスで働いている方も、(お客様に本源的な価値を与えて)売上をあげるために働いている方が多いと思っています。

このような状況下で、ファイナンス思考を持っていないということはどのような状況を意味しているでしょうか。私は下記のような状態だと考えています。

(a)ハンドやオフサイドを知らずに、サッカーの公式試合に出ようとしてる
(b)ブラックジャックのルールを知らずに、カジノで大儲けしようとしている
(c)一度もPCを触ったことがないのに、エンジニアとして働こうとしている

上記の例に共通することは「前提となるルールを知らずに、大きなことを成し遂げようとしている」ということです。遠回りすることが一概に悪いこととは言えませんが、このような状態は無駄な(=資産として将来に活かされない)工数をかけることになります。

・エンジニアにも必要な思考方法である

おさらいになりますが、「ファイナンス思考」とは、「過去の状況を正確に判断して、経営資源(主にお金)をどのように調達し、企業価値を最大化するためにどのように運用するか」を考える思考法です。

エンジニアとして働き始めて、約1ヶ月しか経っていない駆け出しエンジニアが偉そうにいうことではないですが、「ファイナンス思考」はエンジニアにも必要な思考法だと考えています。こちらをエンジニアとしての業務に擬えると下記の通りになると考えています。

「過去・現在の経営状況を正確に判断して」
=> 過去の開発でどれくらいの工数が発生したのか正確に見積もること

企業価値を最大化させるために経営資源を運用させる」
=>チームや自分のリソースをどのくらい投下して、プロダクトの質やチーム・個人のスキルアップを最大限高められるよう運用すること

どれだけのリソースを投下すれば、どの程度のお客様に対して本源的な価値を与えられるプロダクトを開発できるのか、その結果どれくらいの売上を出せる可能性があるのか。

会計、ファイナンス、B/S、PLなど、頭が痛くなるような単語が出てきましたが、それらの知識がなくても、「ファイナンス思考」そのものの考え方は、生きていく・働く上で必要な思考のフレームワークになると考えています。

③最後に

全てのものは、欲しい人がいて初めて”価値があるもの”になる、逆にどれだけイケているプロダクトでも、欲しい人がいなければ無価値と同じだと思っています。

上記と同様に、エンジニアの仕事は単にスプリントスケジュールに合わせてコーディングするだけではなく、ユーザーストーリーを考えて、Nice to have ではなくMust haveになるようなプロダクトを世の中に出すことだと思っています。

Must haveなプロダクトを最速で世に出すために、「ファイナンス思考」は必要不可欠な思考法で、経営者やチームリーダーだけでなく、メンバー全員がこのような思考を持っているとより強いチームが作れるはずです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。 「ファイナンス思考」を学ぶきっかけになっていただけたら幸いです。

(参考文献) ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論 朝倉 祐介 https://www.amazon.co.jp/dp/4478103747/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_a5EaDbTW2SS8Q

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